Idea4U interview vol.32

豊かに暮らせる環境づくりを目指す

人と人とでつながる未来
「食」を通じた高齢者サポート最前線

 


高齢者問題を語るいくつかのキーワードの中で、「食」は重要度の高いもの。日々の食生活が、高齢者の心と体の健康に大きく関わっている、と言っても過言ではありません。「食」を起点にしたつながりを丁寧に紡ぐことから生まれる信頼、安心。ごく当たり前のことを見直すことで、超高齢社会の日本を幸せにするポイントが見えてきます。

 

「ほかに代わりがない」ことの重みと「断らない」という事業のあり方

高齢者の方々が夢と生きがいを持って暮らしていけるよう、「食」を基本にトータルなアフターケアプランの事業展開を行う株式会社シニアライフクリエイト。前身となる会社が産声を上げたのは、折しも2000年の介護保険スタート前夜、1999年。もともと、高橋代表が塾講師とかけもちで働いていた弁当店では、病院食対応も請け負っていました。ところが、経営者が高齢を理由に廃業することに。困る人々のことを考えるとやり切れず、自ら会社を立ち上げ、高齢者向け宅配弁当ビジネススタートに至ったという。「ほかに代わりがない!という切実さが、背中を押した格好です。ですから、普通なら非効率だと断るケースでも断りません。地方の過疎地では、ひと山越えてでも行きますよ」。

現在は、宅配弁当の「宅配クック123」と施設向け食材卸の「特助くん」、2本柱による事業展開(資料1参照)ですが、売り上げベースで8:2。この数字は、在宅の一人暮らしでもマンションでも高齢者施設でも同じサービスを提供する!という目標に近づくほど、その割合も変わるという見込みのようです。

 


 

お弁当を届けることから始まる!「宅配クック123」だからできること

事業のメインを担うのは、「宅配クック123」フランチャイズ本部の運営です。この123(ワン・ツゥ・スリー)というのは、「向こう3軒両隣」といった意味合いから。昔から、ご近所付き合いで当たり前のように安否を気遣う間柄を、象徴的に表現したものです。「いつもは庭いじりをしているお隣さんの姿が見えない時、ちょっと様子を見に行くようなご近所付き合いの代わりができたら、という思いで付けました」と語る高橋代表。宅配は昼と夜の1日2回。栄養バランスを考えたメニューのお弁当を届けると同時に、言葉を交わして生活の様子を確認する時間を、少なくとも1分間持つこと(1分サービス)を基本にされています。

「通常、弁当屋の目的は弁当を売ることですが、『宅配クック123』では、弁当はあくまでも手段、目的はお客様の安否確認です」という言葉が心に響きます。弁当という手段が増えるほど目的達成率は高まるので、そのために弁当を売っている、と。軸がブレないよう、スタッフ全員が思いを共有する大切さを実感します。

「1分サービス」で知り得た情報は、ささいなことでもご家族やケアマネージャーに報告。これこそが最も重要な役割です。毎日顔を合わせるからこそ、小さなサインも見逃しません。また、認知症のお客様への対応のため、全国の加盟店に対し、認知症サポーター講座の受講によるオレンジリング(資料2参照)取得を推進。対応の際は、「みほこさん」が合言葉。み=認める、ほ=褒める、こ=肯定する、さん=賛同する、を認知症の方への基本姿勢として徹底しています。間違った初動が、思わぬトラブルや事故につながるため、責任云々の前に道義的な見地から力を入れているそうです。


 

在宅配食の延長線上にあるもうひとつの柱「特助くん」の可能性

先にふれた通り、現状の主力は在宅配食の「宅配クック123」ですが、もう一つの柱が「特助くん」。施設向け食材卸事業としての展開で、名前は「特養を助ける」に由来します。スタート当初は、施設内調理にこだわる高齢者施設が多かったそうですが、日本全国でスタッフ不足等による経営破たんも起きる中、業務見直しの切り口として提案した結果、採用施設も拡大していったとのこと。

つまり、スタッフ不足が深刻な中、調理済み食材を入れることで厨房にかかる人手を抑えて、高齢者の方々と向き合うスタッフを一人でも多く配置するほうが、本来あるべき姿では?という視点です。30~50名規模の施設が抱える問題は、まさにそこだったわけです。

今後は、「宅配クック123」の在宅配食でカバーできないところを「特助くん」で補って、地域の高齢者の方々を全方位的にお手伝いしていきたいという思いがあるとのことです。

 


ワクワクできる「場」を提供することで独居高齢者の自立支援も視野に!

現在は、シーズンごとにちぎり絵キットを配布し、指先を動かして完成させる楽しみを提供。ちょっと自慢げに宅配スタッフに見せて、会話も弾みます。昔懐かしい家族団らんを描いたイラストを配るのも、記憶を呼び覚まし、会話のきっかけになればという思いからです。

また、買い物代行業務に注目しています。地域密着型の強みを生かし、お弁当と共に必要なものを届けるサービス。
一人暮らしの高齢者の方々の毎日を支えたい、という思いが全てです。宅配とは逆の発想ですが、高齢者の方々が「出かけていきたい」サロンのような場の提供も急務。「宅配が便利すぎて、家に閉じ込めてしまっているのでは?と思ったのがきっかけです。日常的に集って、食事をし、カルチャー講座等で楽しめる場も必要かと」。使わなくなった集会所を借りる、「宅配クック123」加盟店やコンビニに併設するなど、展開の可能性も様々でしょう。

「地方や離島の加盟店でも通用するビジネスモデルにしたい。『食』から始めて生活全般の自立支援に役立てていけたら」。高齢者が、地域に見守られて快適に暮らせる仕組みづくりへの熱い思いが伝わってきます。その先には、一連のノウハウを生かした、海外、特にアジア進出も視野に。高齢者の方々が、明るくワクワクできる社会に近づく、そんな期待感でいっぱいになりました。

 (不二印刷株式会社)

 

株式会社シニアライフクリエイトについての詳細は、こちらでご覧いただけます。
http://slc-123.co.jp/